広告のコンバージョン計測が動いているかを確かめる。設定の有無と、数字が届くまでの経路
広告を配信していて、管理画面のコンバージョンの列が0のまま動かない。あるいは、自分が受け取っている問い合わせの数と、管理画面に出ている件数が合わない。そういうとき、広告文やキーワードを疑う前に計測そのものが動いているかを確かめると、そこで話が終わることが少なくありません。
コンバージョン計測を「置いてあるか」と「数字が届いているか」の二つに分けて、順に確かめる手順をまとめました。材料は、自社サイトで計測を組んだときに実際に起きたことと、少額の予算で自分で広告を回している人が公開している記録です。後半では、この点検を読み取りの権限だけで済ませる形まで書いていきます。
エージェントに広告運用を任せる話の全体像はClaude Codeで広告運用は自動化できるのかにまとめてあります。
計測が無いまま、8か月の配信が続いた記録
BtoBのコンサルティングを個人で請けている事業主が、Googleの検索広告を4回に分けて出した記録を公開しています。期間は合わせて8か月、費用は約168,000円(うち6万円はクーポン)。表示は合計で約98万回、クリックは5,153回で、問い合わせは0件でした。日予算は数百円から2,000円程度、CTRは0.41%から0.57%、CPCは20.7円から67.5円という帯です。
本人が設定したと書いている項目は9つあります。キャンペーン、期間、日予算、曜日と時間、キーワード10個、地域、見出し、説明文、構造化スニペット。この9つにコンバージョン計測が入っていません。 成果は、自分のホームページに問い合わせが来たかどうかで数えていました。
8か月も気付かずに済んでしまうのは、広告の管理画面がコンバージョン計測の有無にかかわらず配信を止めないためです。キーワードの書き方を間違えれば表示が出ないので、その日のうちに分かります。計測が無い状態では、表示もクリックも普通に増え続けます。欠けているのは結果の列だけで、その列に0が並んでいるのは、成果が本当に0件であるのと画面の上では見分けが付きません。
広告運用の失敗として供給側の記事が繰り返し挙げるのは、コンバージョン設定を置かないまま運用を続けることと、予算を分散させることの二つです。この記録は前者を実際になぞっていました。件数が媒体に返らないと自動入札が学習の材料を持てないという話は、配信面の話と並べて少額予算でリスティング広告の運用代行は頼めるかに書いたので、以下は計測の側だけに絞ります。
なお、ここで引く記録は公開されているものですが、書き手の業態や実績まで裏を取ったわけではありません。個別の名前は出さず、数字と、そこから読める機構だけを扱います。
タグを置いたことと、数字が届いていることの違い
設定さえしてあれば安心かというと、そうでもありません。自社サイト(mureo.jp)で問い合わせフォームの計測を組んだとき、タグは置いてあるのに数字が一件も届かない状態を経験しています。
最初に組んだのは、フォームの送信が完了した時点で、ページの側から計測ツールの関数(gtag())を直接呼ぶ形でした。コードは載っていますし、ブラウザのコンソールにエラーも出ません。それでも計測ツールの側には何も入りませんでした。最終的に成立したのは、送信の事実をデータレイヤーへ積み、タグマネージャがそれを受けて発火させる経路だけです。
つまり、発火しているかどうかは、ページのコードを読んだだけでは判定できません。 タグの記述があることと、そのタグが発火の条件を満たすことと、発火した内容が媒体に受け付けられることは、それぞれ別に確かめる必要があります。判定は、送る側ではなく受け取る側の画面で行うことになります。
送る道筋が二本ある場合は、条件がもう一つ増えます。mureo.jp では、フォーム送信のイベントをブラウザから送ると同時に、サーバー側からも媒体のAPIへ同じイベントを送っています。このとき、両方に同じイベントIDを付けて、媒体の側で重複排除させています。IDを揃えなければ、同じ1件が素直に2件として数えられます。サーバー側の送信を足した日を境に件数が倍近くへ増えたなら、成果が増えたのではなく、この排除が効いていない可能性を先に見てください。
件数が合わないときに起きていること
届いてはいるが数が合わない、という形もあります。mureo.jp で、計測ツールに並んだ件数と、顧客管理の側に残っている件数を突き合わせたところ、一致しませんでした。ずれは両方向に出ます。同じ人が2回送信したものを、計測ツールは2件として数えます。逆に、サーバー側の送信が成功しているのに計測ツールの画面には載らない例もありました。
理由は別々ですが、そこから言えることは一つです。人数を数えたいなら、顧客管理の側で数えるしかありません。計測ツールが数えているのはイベントの発生回数であって、見込み客の人数ではないからです。広告の側で見るのは配信の判断に使う数字、事業の側で見るのは実際に話が始まった件数、と分けておくと読み違えが減ります。
読む時刻にも条件があります。計測ツールの一部の指標は、前日ぶんが0で返ります。処理の遅延であって、壊れているわけではありません。前日の数字を見て「昨日から止まった」と判断すると、何も起きていないところに原因を探すことになります。前々日まで待ってから読めば、この誤解は避けられます。
中身も混ざります。mureo.jp に届いた問い合わせのイベントを1件ずつ照合すると、本人のテスト送信、実際の見込み客、ボットの3種類が入っていました。計測ツールの件数をそのまま成果として読むと、この3つは区別できません。テスト送信を除かないまま目標コンバージョン単価の自動入札に渡せば、媒体はそれも成果として学習します。件数が少ないうちほど、混ざりものの比率がそのまま学習のゆがみになります。
どこまで確かめれば、計測が動いていると言えるか
確かめる項目には順番があります。上から順に当てていって、止まったところが原因の在り処です。
- 設定の有無:広告の管理画面でコンバージョンアクションの一覧を開きます。1件も無ければ、ここで終わりです。名前だけ作られていて実際には使われていないものが混ざる場合があるので、件数ではなく中身で見てください。
- 受信の有無:一覧の各行には、そのアクションが実際にコンバージョンを記録しているかどうかを示す欄があります。作ったのに一度も受信していないなら、タグが置かれていないか、置かれていても発火の条件を満たしていないかのどちらかです。
- 最終受信日時:受信はしているが、途中で止まっている場合があります。最後に受信した日付を見て、何日前かを数えます。その日付がサイトを触った日と重なるなら、更新でタグが外れた疑いが濃くなります。
- 重複:ブラウザ側とサーバー側の両方から送っている構成なら、イベントIDが揃っているかを確かめます。揃っていない場合、件数は実態の2倍近くになります。
- 数え方:媒体に出ている件数と、顧客管理の側の件数を突き合わせます。差が出たら、同じ人の重複送信、テスト送信、ボット、届かなかった送信のどれで説明が付くかを一つずつ当てていきます。
2から4は、自分で1件送ってみると同時に確かめられます。あとからテスト送信だと分かる名前で問い合わせを1件入れて、媒体の管理画面に何分後に何件として現れるかを見る。現れなければ2で止まっていますし、2件現れたなら4の問題です。ただしこの1件は成果として記録に残るので、後で除く手順まで決めてから実施してください。
点検を、読み取りの権限だけで任せる
この五つは月に一度は当てる価値がありますが、手作業で毎月やるには面倒です。管理画面を開いて一覧を出し、日付を数え、顧客管理の側と突き合わせる。判断はほとんど入らず、手順は毎回同じで、結果は表として残ります。Claude Codeに広告運用のどこまでを任せるかで挙げた四つの問い(金が出ていくか、読めば気付けるか、手順が固定できるか、記録が残るか)に当てると、計測の点検はすべてを通ります。
Claude Code から広告媒体のAPIへ接続して読ませるのは、次の四つです。
- コンバージョンアクションの一覧(名前、作成日、計上の方法)
- 各アクションの受信の状態
- 最後に受信した日時
- 直近7日と直近30日の受信件数
出力は表が1枚あれば足ります。一度も受信していないものと、最終受信が数日以上前のものを上に並べさせておくと、読むのは数秒で済みます。毎朝の点検に混ぜてしまえば、受信が止まった日をその翌日には特定できます。
この点検に、書き込みの権限は要りません。 一覧を読む、受信の状態を読む、日時を読む、件数を数える。どれも読み取りだけで足ります。権限を閲覧に絞っておけば、点検のつもりで動かしたエージェントがコンバージョンアクションを止めたり作り直したりする余地もなくなります。読み取りから始める理由はClaude Codeに広告運用を任せて大丈夫かに書きましたが、計測の点検は、その原則をそのまま当てられる数少ない作業です。
接続の手順はClaude CodeでGoogle広告を動かすにまとめました。開発者トークンの発行と権限の段階でつまずきやすいところも書いてあります。点検だけが目的なら、権限は閲覧のままで動きます。
一つだけ、指示に入れておくことがあります。取得の失敗と件数0を取り違えないよう、APIが応答しなかった場合は0を返さず失敗として報告させてください。ここを分けておかないと、計測を点検するための仕組みが、点検の結果のほうを壊します。
計測の点検でつまずきやすいところ
サイトの更新でタグが外れる
フォームの作り替え、ページの移設、タグマネージャの公開の漏れ。どれもページの見た目からは分かりません。最終受信日時が、サイトを触った日で止まっていないかを見てください。
「設定済み」の報告と、受信が別になっている
制作会社や代行に設定を任せた場合、完了の報告が届いたことと、媒体が受信していることは別に確かめる必要があります。一覧の受信の状態と最終受信日時は、依頼した側のアカウントからでも読めます。
計測点を増やして、どれが成果か分からなくなる
電話、フォーム、資料請求、特定のページへの到達を同時に主要コンバージョンへ入れると、件数は増えますが、自動入札へ渡る材料は分散します。増やすのは、一つで件数が積み上がってからにしてください。
イベントIDを付けないまま、二重で送る
サーバー側の送信を足すときに起きます。件数が急に伸びたときは、先に重複を疑うほうが早いです。
よくある質問
管理画面のコンバージョンが0件です。計測が壊れていると考えてよいですか
まだ決まりません。一度も受信していないのか、過去には受信があって止まっているのか、受信は続いているのに見ている期間の数字が0なのかで、原因の在り処が変わります。一度も受信が無いなら計測の設定側、途中で止まっているならサイトかタグの変更、受信が続いているのに0なら、集計している期間と、そのアクションが主要コンバージョンに含まれているかどうかを確かめてください。
タグは設置してあります。それでも数字が届かないことはありますか
あります。自社サイトでは、フォーム送信のイベントをページから計測ツールの関数で直接送る形にしましたが、これは機能しませんでした。データレイヤーへ積んでタグマネージャ経由で発火させる経路だけが成立しています。設置の有無はページのコードで分かりますが、発火しているかどうかは受け取る側の画面でしか分かりません。
計測ツールの件数と、顧客管理の件数が合いません。どちらが正しいですか
数えたいものによります。何人から問い合わせが来たかを知りたいなら、顧客管理の側が答えです。計測ツールが数えているのはイベントの発生回数なので、同じ人の2回の送信は2件になります。逆に、サーバー側の送信が成功しているのに計測ツールへ載らないこともあるため、どちらか片方だけを見ていると気付けません。
点検はどのくらいの頻度で必要ですか
手作業でやるなら、月に一度と、サイトやフォームを触った直後というあたりが現実的だと思います。エージェントに読ませる形にしてあるなら、毎日の点検に混ぜても手間は変わりません。日次で見る利点は、受信が止まった日を特定できることです。止まった日が分かれば、その日に何を変えたかから原因をたどれます。
エージェントに点検させるとき、書き込みの権限は必要ですか
必要ありません。コンバージョンアクションの一覧、受信の状態、最終受信日時、直近の受信件数は、すべて読み取りで取得できます。直す作業は広告の管理画面かタグマネージャの側で人が行うことになるので、点検を任せることと書き込みの権限を渡すことは切り離せます。閲覧だけの権限で始めて、それで足りるかを確かめてから範囲を考えるほうが安全です。
まとめ
コンバージョン計測が動いているかどうかは、設定が置いてあるかと、数字が媒体に届いているかの二つに分かれます。前者は管理画面のコンバージョンアクションの一覧で分かりますが、後者はページのコードを読んでも判定できません。8か月で約168,000円を使い、クリック5,153回で問い合わせ0件だった記録では、本人が設定したと書く9項目に計測が入っていませんでした。管理画面は計測が無くても配信を止めないので、欠落が数字の形では現れないのです。
確かめる順番は、設定の有無、受信の有無、最終受信日時、重複、数え方の五つです。受け取った件数をそのまま成果として読めるとは限らない点も、あわせて見てください。計測ツールが数えているのは人数ではなくイベントの回数で、前日ぶんは遅延で0が返ることがあり、届いた件数には本人のテスト送信とボットが混ざります。五つはどれも判断を挟まず手順も固定なので、読み取りの権限だけを渡したエージェントに任せられます。書き込みを渡さないまま、設定の欠落に気付く手段だけを先に持てます。